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イサーン・ダーリン


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 大規模な都市開発が進むバンコクでもチェンマイでも地方の出稼ぎ労働者がここ最近急激に増えた。中でも目を引くのが同じユニフォーム(トレーナー)を着ている土木系労働者達。バンコクに福岡空港から約5時間のフライトで到着してTAXIで市内まで行く時が夕方の5時位。その労働者達が仕事を終えて乗り合いバスや時にはトラックの荷台にぎゅうぎゅう詰めに押し込まれて帰路につく時間帯と大体ぶつかる。高速で数台のそういったバスやトラックとすれ違う。バンコクから少し離れた地価の安いところにきっとプレハブなんかで簡易住宅を建てられて生活するところとしてあてがわれているのだろうか…。
 そういう地方からの労働者達は主にタイ東北地方(イサーン)からやって来る。

 「…イサーン・ダーリン」。
 これはあるバンコクのモーラム・バー(モーラムとはイサーン地方の演歌<艶歌?>で軽快なリズムとコブシをガンガン効かせて歌う歌が特徴的な音楽)の店名なのですが、出稼ぎ労働者を見かけると頭の中に、なぜかこの言葉が浮かぶのです。バンコクは卑猥な感じの風俗店が軒を連ねるので有名な場所が沢山ありますが、その中にイサーンからの出稼ぎの女の子達がお客さんの相手をしたり、モーラムの生オケでライブをしたり…深夜を過ぎ明け方近くになるとどこからともなく集まったイサーン出身者のお客と観光客の白人達がモーラムに合わせて踊り狂う…という、かなりハイテンションなバーがあるのです。
 10年ほど昔NHKのアジア紀行…みたいな番組でバンコクにイサーンからモーラムのTop歌手を夢見て一人出てきた女の子の日々をドキュメンタリーで見た事がありました。その子はお世辞にも美しいと言えるような容姿ではありませんでしたが瞳だけはキラキラとしていたのがとても印象的でした。毎日歌と踊りの稽古、小さなアパートの1室を同郷の女の子3人でシェアしていて暮らしはとても質素なものでした。食事は近くのイサーン料理専門の屋台で買ってきて部屋で食べます。ソムタムとカオニャオを器用に手で絡めて食べる彼女達。まだタイ語をまったく理解できなかった私も3人の柔らかいトーンの会話にしばし釘付けでした。健気に毎日舞台で稽古をし、お化粧にも余念がなく、たまにオーディションなんかも受ける。そして見事に落選、、、の日々。太陽だけがそれをあざ笑うかのようにギンギンに照りつける。バンコクの大都会にどんどん飲み込まれていってしまいそうな彼女たち。無邪気な笑顔の裏になんだか危うい印象を持ったのをよく覚えています。

 今バンコクの町には何人のイサーン・ダーリン達がいるのでしょうか?。イサーン出身者に限らず山岳民族出身の人たちもまた多いと言う。どうか都会の魔の手に染まらずに無事生まれ育った村に帰ってほしいとそっと祈ってしまうのは私だけでしょうか…。

 


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夕方5時過ぎには乗り合いバスが彼らを迎えに来る。まとめて寝床に搬送(?)されるようにして帰っていく。
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by iroirostyle | 2007-11-11 22:22 |